『第3回 偽りの星』
この術に必要とされるのは、ただ対象の頭髪のみ。――名もなき魔術書
偽りの者、滅びを招かんと光を纏う(まとう)。されば我等、闇の輝きは正しきこと絶対なり。――「トゥーム福音書」
※ ※ ※
【前回までのあらすじ】
星下暦329年春のことであった。守り手たる《神子》のいない時期を知ったセリア首長国は、隣国ガルデン王国へと侵攻した。《神子》のいないガルデンは《神子》にすべての守りを頼り切っていた自国に気付きながら滅んでいった。
舞台は大陸中央に位置する〈小王国群〉。そこは馬の目を抜くかのような厳しい政治地帯。毎月どこかの国が滅ぶのである。内紛のこともあれば、他国に制圧されることもある。そしてここは大陸三大王国の緩衝地帯でもあったのだ。ガルデンから三日も旅人がいけば、そこはコメーテス帝国。
帝国の軍事支援を受けたセリア首長国。セリア軍によって略奪された都市ガルデンではガルデン王国王女グレーヌが逃れたという噂が流れていた。その姫を市内で発見したのはディスト・バランティス。
セリアによるガルデン占領もようやく落ち着き、セリア軍本陣もようやく都市内の建物へと移る。地下にもぐったレジスタンスはどうでるのか?
一方、ガルデンの守り手だった《神子》の力を秘めた短剣。その力は大陸を支配することも容易ならしむという。その短剣をめぐり、魔術師ザース、怪盗ポンペイが争っていた。
そしてイヌは勢力争いに余念がなかった。そういうわけで、時代は今、風にもてあそばれていた……。
※ ※ ※
秋、収穫の季節。戦乱によって疲弊した地、されども、その地に収穫の季節は訪れてくれる。誰もが喜ぶ収穫のこの季節。皆が浮かれ楽しむ収穫祭は農家だけでなく都市住民によっても行なわれるのだ。
祭り、人々が不平不満を忘れ去るための儀式。日頃の節制をはずし、激しく動き回る。これがあるからこそ、人は生きていける。
ガルデンでも収穫祭は行なわれる。さすがに開催を認めないほどセリア軍も愚かではない。とはいっても、祭りとなるとこれに乗じて暴れる者もいる。それにだけ注意すればいいのだ。
また、祭りの開催を認められるほどセリア軍は余裕ができたということでもあった。
『広野独歩』
ガルデン市街地から離れた街道。街道沿いの畑もとっくに収穫は終わっている。
祭目当ての商人や楽士、そして娼婦などの姿が多く見える。薄汚れた男と女はきっと街の祭を見に行くのだろう。支配者がころころと代わる〈小王国群〉だからこそそのような街に祭見物なんてことが許されるのだろう。
そのような人の流れとは逆にガルデンから離れていく人々もいる。この当時の数少ない娯楽である祭を嫌う者も珍しいが、皆無とはいえない。人込みの嫌いな者、祭後半に儲けをあげようと、仕入れを忘れた商人、人には言えない理由の者。様々な理由を持つ者が街から去っていくが、街の人口は減るどころか祭のときが一番多い。ということはやはり街に行く人波のほうが流れがでかいということだ。
街に向かう人波に馬車も身を任せていた。どこにでもある馬車なのだが、その注目をあびない馬車にかえって注目する者もいた。
――気配が違う
馬車の周囲にはただならぬ気配があった。身のこなし、どこといってあやしいというわけでもないのだが、何かが違う。馬車の中からもただならぬ気配が感じられた。
街から離れていく金髪の戦士、そして灰色の髪の商人もこのことに感づいていた。ただならぬ気配、それがどうしたのだろうか。
「おっと、すみません」
「いえいえこちらこそ不注意していました」
商人が馬車の周囲にいた職人風の男とぶつかった。馬車から十分な距離をとってから商人は新たに得た財布を覗き込む。道端でしばしの休息をとっているようにはた目からは見える。
中には数枚の硬貨、ただの職人が持っているには少々多すぎるような気もするのだが。そして硬貨の中に帝国製のコインが多く見受けられた。ほんのわずかだったのだが、多かったのだ。〈小王国群〉地帯では自国で硬貨の鋳造を行なえるごどの国家はほとんどないので、コメーテス帝国製のコインがあることは珍しくない。ただ、何かが気に掛かった。
――馬車の中には何者がいるんだろうか?
金髪の戦士は馬車の近くにいる吟遊詩人風の女に声をかける。
「娘、中にはどなたがお乗りになっているか知らないかな」
「さぁ? 立派な馬車ですよね。どなたが乗っていられるんでしょうね。ごめんなさい、戦士さん。お役に立てなくて残念ですわ」
娘は軽やかな微笑みを浮かべ、戦士を受け流す。戦士は瞳が笑っていないことを感じつつ、礼を述べ去っていく。馬車の周囲の人々の視線を感じながら戦士は立ち去っていく。
「戦士さん、せっかく出会えたんですから名前だけでも教えてくださいませ」
振り返って答える。
「そうだな、クライシス・ニードルとでも覚えてもらっておこうか」
「クライシス・ニードル、いい名前ね、気を付けて。旅はどこに危険があるかわからないから」
戦士は道端で休んでいる商人の前を通る。
「戦士さん、追っかけがいるなんて羨ましいですねぇ」
「おまえもあの馬車をあやしく思ったのだろう。どうだった?」
「ただの馬車ではないようですが、私は商談がありますので。馬車のことはどうでもいいです」
「そうか、私にもすることがあるからな。さらばだ」
戦士は近隣の村を巡る。商人はアタビス王国へとつながる道を歩んでいった。戦士は決起をうながしに、そして商人に身をやつした者は助力を請いに進んでいった。
『馬車護送』
金髪の戦士、灰色の髪の者とすれちがった馬車は数日後、街に入った。馬車は街の中に移ったセリア軍本陣に入っていく。
「無事すんでよかったな、マイヤー」
「そうですね」
コメーテス出向軍事顧問、クルトは副官マイヤーと肩をたたきあって使命の完了を喜んでいた。馬車はクルトの割り当てられた帝国出身の出向部隊のスペースにつけられる。
中に通されたのはグレーヌ・ガルデン王女であった。連れてきたクルトが声かける。
「こちらが我が帝国軍の捕らえたグレーヌ王女であります。あと数日でアタビス王国へと亡命をはたすところでありました。おあらためください」
前回のことがあるせいか、将軍、副将軍ともに目をかっぴろげてグレーヌ姫と紹介された娘を凝視している。
「パウロ殿、この方はグレーヌ王女に相違ありませぬ。あの方の眼差しにそっくりじゃ……」
ゴットハルトの語尾はしぼんでいった。
「ややっ、これはグレーヌ殿、いろいろと不自由をかけましたな。わしはセリア軍ガルデン侵攻軍将軍パウロ=マウザと申す。こちらはシャウプ=ゴットハルト副将軍じゃ、姫様にはカエザル=シタデハイルといったほうがおわかりかな?」
将軍はおおげさに礼をする。
「私になんのようがあるのです? それにしてもよくよくもおめおめと私の前に姿を表わせたものね! 犬カエザル!」
「相変わらず口が悪いですな、グレーヌ殿。やはり殿下はそのように元気がおありでないといけませんな」
「ちくしょう、犬のぶんざいで!」
とかいう言葉を発してグレーヌはゴットハルトと蹴りつける。ドレスが邪魔してスピードのおちている蹴りなど本職の戦士に通じるわけもない。
「また明日来ますぞ」
そういって将軍らは出ていった。
『曲刀直入』
陰の重い男がセリア統治府から出てきた。ちなみにセリア軍本陣は移転に伴い、セリア統治府と名を変えている。それに伴い、弾圧も緩くなり、市民の生活もかなり楽になってきている。兵士の統率もよくなり、素行の悪い兵士は減ってきている。
男は微笑みながら、隠れ家に油を取りに行っている。
しばらくしてクルミンとかいう騎士に指揮された二百人からなる部隊が出ていった。向かうはレジスタンスである。
騎士が出ていってからしばらく後、町の各地が燃え上がり始まる。それに対応してまた統治府から兵士らが出ていく。
兵の減った統治府にやがて、陰のある黒髪の男、それとは別に真紅の髪の戦士が忍び込んでいった。
『火焔焚焼』
ディスト=バランティスは姫と一緒にレジスタンスと合流したのだが、レジスタンスをまだ完全に信用していないので、いろいろ内部を探っていた。
「おいおい、今は頼りになりそうな奴はみんな出払っているのかよぉ〜〜」
フュルグは私用で、ミリオラーネとラヴェルは古文書を捜しにいったまま戻ってこないし、今レジスタンスで一番場数を歩んできているのはディストだった。とはいっても、ディストも姫と一緒に祭を楽しみに行こうとか模索していた。他人には「姫が望むなら祭に御案内しようと思ってるのさ」とか言っているのだが、レジスタンスの誰から見てもディストが必死に誘おうとしているようにしか見えなかった。
そして今日ようやく、ここ数日の努力が実り、姫は祭に行くことに同意なされたのだった。
――町人姿もお美しいなぁ。
などと思いながら、姫の変装のための化粧をするのだった。
ディストと姫が祭に向かう際、二人はセリア軍とすれちがった。
「祭だというのに、野暮なことですねぇ。レーヌ」
セリア軍はレジスタンス本部、さっきまでディストらがいたところを襲撃していた。それと同時に街のあちこちから火があがる。
「レジスタンスめ、抵抗らしい抵抗をしないと思えば、ちょこざいなことをしおるわ!!」
指揮官はおもいっきり、死体を蹴っていた。
レジスタンス本部は壊滅した。四分の一ほどがなんとか生き延びたという。ちりちりに去っていったが。ちなみに前商業卿トリスもこのどさくさの中、死亡した。
「こっちにお逃げ」
兵士に追い掛けられるレジスタンスの逃亡者を逃す。そのために兵士の相手をしているのはシルディン・クラウスという武闘娘である。このおかげでなんとかレジスタンスは滅び切らなかったようなものだった。
『神子微笑』
気が付くと、彼らは星空の中にいました。声に導かれ、ここにいるのです。異界にきた彼らは次第に興奮が落ち着いてきましたので互いの確認をするのでした。
女僧侶に、魔術師、そして怪盗。ドワーフの姿もあります。
互いに自己紹介をしようとしたのですが、ポンペイの姿を認めたザースがいきり立ってしまいます。ですがそこに、少女と二十後半の女性が姿をあらわれなさったのです。そのおかげで、とりあえずザースが暴れるのはとまりました。
「よくぞ来ました」
そうおっしゃられた女性は彼らを見渡されます。少女は好奇心をたたえた顔で、彼らに微笑みかけておられます。愛くるしいばかりの表情の少女でした。
「私が《神子》トランです。あなたがたのどなたかに《神子》を引き継いでもらいたいと思ってます」
「みなさん、来てくれてありがとう。こんなにたくさんのお客様はお久し振りだわ」
トラン様の話が終わったあと、少女は彼らに口付けをしてまわりなされました。宙を浮かんで頬に接吻なされたのです。
「アラウネ様、みんな驚いていますよ。驚かせっちゃってごめんなさいね、みなさん。こちらが《神子》のお仕えするアラウネ様。とってもかわいらしい方ですけど、ときどきとってもわがままになられますの」
「もぅ、トランったら私がいったいいつわがままなんて言ったの。ふ〜ん、だ。トランなんてもう口きいてあげないもん」
ミリオラーネ=ルノターンはただただ圧倒されています。ポンペイもびっくりしています。圧倒から立ち直るのがはやかったのは、ザースとバルクでした。
「《神子》の力でガルデンを救いたく思います。ぜひとも拙僧に力を。皆が《神子》の再来を待っておられます」
トラン様はザースとバルクの瞳をじっと覗き込んでおられます。
「あなたがたの思っているような存在ではないかもしれませんよ。《神子》というものを誤解しているのかもしれませんね。ですが、このことを知ることができるのは《神子》になってからなのです。ですから詳しいことは何もあなたがたに伝えられません。それでも《神子》になりたいのですか」
アラウネ様に視線を一度向けながら、真摯な顔でトラン様は語りかけなされます。アラウネ様はポンペイの仮面を面白そうに眺めておられます。
「ね〜、ね〜、お面とって〜〜」
少女の声にはっとしてしまったのはポンペイです。ザースを見、アラウネ様を見たポンペイは仮面に手をやります。
「私の本当の名前はルーア・セナードといいます。人々を正しき運命へと導くのが私の成すべきことと考えています」
「正しい運命? 仮面のおにいちゃんはそんなもの信じているの?」
つまんなさそうに仮面をかぶって遊びながら呟くアラウネ様。ポンペイ、いや、ルーアはザースに語りかけます。
「ザース師、あなたの運命を感じます。あなたはその内に多大な力を秘めてます。あなたはその力を正しい方向へと使わなければなりません。まずは《神子》の言葉に耳を傾け、あなた自身の道を見つけるのです」
アラウネ様はミリオラーネのほうへ近付きなさります。女僧侶の腰ほどまでしかない身長のアラウネ様は見上げて話し掛けなさいます。
「ね〜ね〜、おねえちゃんはどうしてここに来たの?」
ミリオラーネは眼をつぶってしばし考え込みました。やがて思いつめたかのように眼を開け、答えます。
「ガルデンを救うために来ました。アラウネ様」
「でも、どこに助けてほしい人々がいるの?」
アラウネ様が腕を一振りすると、二人の間に映像が浮び上がりました。それはガルデンの祭の風景です。
『祭礼吉日』
祭のガルデン、いい天気。御日様ぽかぽか、いい気持ち。
みんな浮かれまくっている。セリアに侵略されていなかった去年と変わらずに祭は行なわれている。
「カカオ兄様いませんね〜〜、いったいどこにいるのかしら☆」
栗色の少女は兄を捜しながら祭を楽しんでいた。しかしながらやはりまだまだ遊びたい盛りの十歳の少女にとっては、祭を楽しみながらときどき思い出しては、兄を捜すという具合となっている。
どんっ。兄を捜す少女は祭を楽しむ娘をぶつかったのだ。
「ごめんなさい、兄を捜すのに夢中だったものですので」
「い〜え、こんな人込みだからぶつかっても謝る必要ないわよ」
ぶつかられたハーフエルフの娘はじろじろと少女の全身を見回す。少女はいかにも金のかかっていそうな格好をしていた。
「ほんとですか? ありがとうございますわ。私、ミルク・バーホーテン。ミルキーって呼んでくださいね。」
「あたしはルキア・ティンガード。ところであんたって金持ちよね」
「金持ちってほどではありませんけど、故郷のコカコではうち以外が貧しい生活をしていましたわ」
「よっしゃ〜!」
ルキアは金目の娘を入手して喜んでいた。
リューネス・リュードーは唐もろこしを焼きながら、ルキアとミルクのからみを見ていた。
「あぁ、ほんとにあれで大丈夫なのか?」
「はやく〜〜、まだ焼けないの〜〜」
「あ、はい、三本でしたね。はいお待ちどうさま」
広場ではケルシャ・ストームという舞踏家が舞っていた。国の興廃と人々のやるせなさを憂れいた舞であった。感情に支配されやすい群衆は一時の感情にもてあそばれても暴動とまではいかない。せいぜいグレーヌ姫はどうなされたのでしょうか? などと語り、旧王国の感傷にふける程度であった。
実際、セリアの占領はうまくいっていたのだ。旧王家で象徴となりそうな姫様でもまつりあげない限り、レジスタンスの成功はなさそうだという考えは正しかったのだ。
ケルシャ・ストームの舞を熱心に見ているものがいた。いや、胸を観察していたものがいた。黒髪の騎士だ。
「ゲヘゲヘゲヘ……」
ケルシャの豊かな胸をじっと観察。
「胸を見てるのは許せるけれど、変な声たてないで! もう踊りにくいったらありゃしないわ。あなたホントに騎士なの?」
「ライル・フォレスター、セリア軍騎士団にその名を知られた男なり!」
祭も各地で出火が起き、混乱へと移っていた。ライルもケルシャが去っていったので混乱を収拾するために群衆の相手をする。
「あぁ、持病の癪が……」
「大丈夫か?」
ライルが声をかける。ライルは背をさする。
「スキあり!」
ゴン!
「ほ〜っほっほっ。あなたのおカネありがたく使わせていただくわっ!」
娘はすばやく群衆にまぎれて逃げ去って行った。
『少女苦笑』
アラウネ様は映像を消しなさりました。
「あなたもこのような人々を守りたいと思っているのね」
アラウネ様は悲しそうです。ミリオラーネは力強くうなずきます。
「そう……」
「しばらく滞在してくださって結構ですので、その間に《神子》になってどうしたいのか、などをしっかり考えてみてください。《神子》は簡単なものなのではないのですから……」
トラン様はみんなの顔を見ながら、悲しそうに微笑みみながらおっしゃられたのでした。
『冷静沈着』
ケアル・トゥーリアは統治府に忍び込んでいた。各部屋に入り、金目のものを奪い、あとには火をつけていた。ケアルにはわからないが、そこは帝国出向部隊の宿舎であった。火は回り回って統治府中を覆い尽くそうとしていた。
この火のおかげで、フュルグも大した障害もなく忍び込めていた。そして、この扉をあければゴットハルトの部屋のはずだ。
「ゴットハルト!」
扉を押し開けると、中は火の海だった。ゴットハルトの姿はない。
「お……にい、ちゃん?」
フュルグの声を聞いた娘が火の間から歩き出てくる。倒れる彼女は火傷と精神ショックで気絶していた。
「ここは通しません! 恥じる心があるならば去りなさい。見逃してあげますよ」
「ふ、おじさんの分際で何をいっているんだ? どかないと死ぬよ」
懐に入り込んだケアルは、心臓に短剣を刺し込む。毒のしっかり塗ってある短剣だ、かすっただけでも命はあぶないのにこれでは助からない。だが、ケアルも傷をくらっていた。使い込まれた長剣が耳を切り落としていたのだ。左耳は落ち、地を這う炎にくすぶられる。その焦げた臭いは鼻を刺している。
「ちっ!」
ケアルは奥の部屋をざっと見渡し、そして去っていった。
「マイヤー? おい?」
クルトがマイヤーのもとに戻ってみると、彼はもうもの言わぬ存在となっていた。
「なんてこった、お前を亡くすなんて。」
『焼屋挽歌』
フュルグが妹を連れて戻ったところは既に焼き跡となっていた。いくさきもなく呆然としていると、赤い髪のグラスランナーが手招きする。
「こっちきて休みなよ」
「すまない」
「な〜に、困ったときはおたがい様ってもんよ」
妹の応急手当てが済むと、グラスランナーの少女は真面目な顔で語りかける。
「あたし、ダリア・ダリアっていうんだけど、実は聞いて貰いたい話があるの」
「おまえら、レジスタンスのものだな!」
ディストと姫は追い掛けられていた。そこら中で火が燃えているので、汗で姫の化粧がはがれたのは予想外だった。
「ここは我等にまかせてお逃げなさい」
「俺はカウル・マッドシグマ、お前ら雑魚の相手にはもったいないぜ!」
「同じくトゥル・サエルダ。レジスタンスの方よ、さぁここは我等にまかせて。さぁ早く」
「逃亡騎士二人組だぁ! こいつらでも十分な賞金が貰えるぞ、やっちまえ」
※ ※ ※
風は烟をどこへもたらす。ただよう烟、飃泛する者よ、燃え尽きるなけれ。
第3話『偽りの星』完
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[管理人:たまねぎ須永へ連絡]